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Mini-ITXケースのサイズとレイアウト

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DIY PC / Mini-ITX / PC case /

    Mini-ITXケースと言っても、様々な製品や志向があります。

    大型GPUを搭載しつつ小型なものから、無駄を省いて極限まで小さいもの、MicroATXに匹敵する大きさのものなど様々です。

    この記事では、Mini-ITXケースのサイズの種類とレイアウトを解説し、実際のおすすめケースを紹介していきます。

    Mini-ITXケースのサイズ

    Mini-ITXケースはその性質上、小さくも大きくもできるため、通常のATXケース以上にサイズのバリエーションが豊富です。

    今回は

    • 大型タイプ(25~30L以上)
    • 中型タイプ(15~25L)
    • 小型タイプ(10~15L)
    • 超小型タイプ(~10L)

    4つのサイズに分けてMini-ITXケースを分類し、それぞれの特徴や傾向を解説します。

    大型タイプ

    Fractal Design Torrent Nano
    Fractal Design Torrent Nano (34L)
    • ミニタワークラスの大きさ
    • 容積25~30L以上
    • 冷却性能や拡張性に優れる

    Mini-ITXケースとしては最も大きく、ミニタワークラスの大きさになります。

    容量的には一部MicroATXケースと同じくらいになりますが、ATXケースと同じATX電源や大型クーラーが使える場合が多いです。また3.5インチHDDも無理なく搭載できます。

    机に乗るギリギリのサイズ感かつ、高機能で高性能なパソコンが構築できるため、スペック重視なユーザーにおすすめです。


    中型タイプ

    Fractal Design Era ITX
    Fractal Design Era ITX (17L)
    • 机に無理なく置いておける大きさ
    • 容積15L~25L
    • 組みやすさと小ささのバランスに優れる

    ここから先はスモールフォームファクタ(SFF)に分類されます。両手で簡単に持てるサイズになりますが、先述の大型タイプと比較するとHDDやATX電源の搭載は難しく、M.2 SSDや小型なSFX/SFX-L電源を積極的に活用する必要があります。

    しかし内部スペースは比較的余裕があるため組み立てがしやすく、またNR200やH1、SUGOシリーズなど入手性に優れるケースも多くあるため、初めて小型PCを組むならおすすめなサイズです。


    小型タイプ

    GEEEK G1SE
    GEEEK G1 SE (11L)
    • 高性能GPUが搭載できるギリギリのサイズ
    • 容積10L~15L程度
    • ハイエンドかつ小型を目指すならこれ

    可能な限り小さくかつ、ハイエンドGPU、高性能クーラーが搭載できるギリギリのサイズです。

    小型かつ高性能なマシンが組めますが、パーツ同士の干渉や排熱の処理が難しく。また内部が狭く組みにくいため自作PC上級者向けなサイズです。

    しかしLIAN LI A4-H2O、MESHLICIOUSなど、高級・デザイン志向な製品が多いため、オシャレな小型PCが欲しい人は是非挑戦してみてください。


    超小型タイプ

    • リビングやモニター裏に置けるサイズ感
    • 容積は10L以下
    • 小型GPUを搭載する、またはGPUを搭載しない場合におすすめ

    このサイズは大型GPUの搭載はほぼ不可能になり、基本的に小型なGPUか、CPU内蔵GPUを利用する形になります。また電源はSFX電源だけではなくTFX電源やFlex ATX電源を利用する場合もあり、高性能なPCを組むのは難しいです。

    ローエンド~ミドルエンドのPCでおすすめです。


    Mini-ITXケースのレイアウト

    Mini-ITXケースは、コンパクトな筐体に大型のクーラーやGPUを搭載するために各パーツのレイアウトを変則的にしている場合があります。

    変則的なレイアウトは高いコンパクト性や高い冷却性能を実現する一方で、いくつかデメリットがありますので、組み合わせるパーツに合わせてレイアウトを考える必要があります。

    ここでは、Mini-ITXケースでよく見かけるレイアウトをいくつか紹介します。

    一般的なレイアウト

    • 一般的なレイアウト(左側面)
    • 一般的なレイアウト(右側面)
    • 一般的なレイアウト(正面)

    このタイプのMini-ITXケースは、下の図のように底面に電源ユニット(PSU)があり、その上にマザーボードとグラフィックボード(GPU)が配置されています。

    一般的な配置のため、ATXケースと同じように組み立てができ、多くの場合特殊な組み立てが必要ありません。

    また、CPUクーラーや電源、GPUはATXケースと同じものが利用できる場合が多く、初めてのITXケースとしてお勧めです。

    ただし、後述のフロントPSUレイアウトやサンドイッチレイアウトと比べると無駄になるスペースが多く、ITXケースの中では筐体のサイズが大きくなりがちです。


    フロントPSUレイアウト

    • フロントPSUレイアウト(左側面)
    • フロントPSUレイアウト(右側面)
    • フロントPSUレイアウト(正面)

    このレイアウトは、電源をケースのフロント側に配置しているのが特徴です。GPUとマザーボードのデッドスペースを有効に活用することでサイズを小さくしています。

    CPUクーラーのスペースが大きいため、比較的性能の高いCPUクーラーが選びやすいですが、GPUが底面にあるためケース内部の温度が上がりやすいデメリットがあります。

    また、一般的なレイアウトと異なりフロントファンが搭載できないため、CPUクーラーやGPUのファンも活用して外の空気を取り込む必要があります。


    サンドイッチレイアウト

    • サンドイッチレイアウト(左側面)
    • サンドイッチレイアウト(右側面)
    • サンドイッチレイアウト(正面)

    このレイアウトは、GPUのPCIeスロットをライザーケーブルと呼ばれる延長ケーブルを使うことで、マザーボードとGPUが背中合わせになるように配置します。

    これにより一層省スペース化が可能かつ、GPUとCPUの排熱が仕切りで隔てられるため、個別に冷却がしやすくなります。

    ただしこのレイアウトは注意点が多く、まず一部のGPUは横置きの設置を前提とした設計をしている場合があり、縦置きでは冷却性能が低下する恐れがあります。

    また延長に使うライザーケーブルがPCIe 3.0対応とするケースもあり、PCIe 4.0接続のマザーボードとGPUの場合、BIOS側の設定でPCIeバージョンを3.0に落とす必要があります。

    そしてCPUに関しても、GPUとマザーボードが背中合わせに配置しているためCPUクーラーのスペースが小さく、大型な空冷クーラーを載せるのが難しいです。

    一部では240/280mm簡易水冷クーラーを搭載できるケースもあるため、CPU冷却性能を必要とする場合はそちらを使うのがおすすめです。


    リアPSUレイアウト

    • リアPSUレイアウト(左側面)
    • リアPSUレイアウト(右側面)
    • リアPSUレイアウト(正面)

    このレイアウトは電源がマザーボードに覆いかぶさるように配置されているのが特徴です。

    奥行きが大幅に削減されるため、GPU搭載のレイアウトとしては最小クラスの大きさを実現できます。

    しかしCPUクーラーのスペースに電源を配置するため、CPUの冷却性能が低いです。またGPUも大型モデルが搭載が難しいため、ローエンド~ミドルクラスのスペックで組むならおすすめなレイアウトです。


    Mini-ITXケースの紹介

    ここからは、私がおすすめするMini-ITXケースを紹介してきます。

    用途によって最適解は変わってきますが、Mini-ITXケース選びの参考になれば幸いです。

    Fractal Design Define 7 Nano

    Fractal Design Define 7 Nano
    • 2022年8月12日発売
    • 税込18,000円前後
    • 大型タイプ(約29L)
    • 一般的なレイアウト
    • CPUクーラー全高 167mm
    • GPU 長さ331mm(最大)/3スロット

    Fractal Designのベストセラーケース『Define 7』のMini-ITXモデルです。

    サイズが29Lと大型ではありますが、ATXミドルタワーケースとレイアウトが一緒かつ、ATX電源や大型CPUクーラーに対応しているため、Mini-ITXケースへの移行が簡単です。

    また、このケースは他のDefine 7シリーズと同様にケース上面が開く構造になっており、これにより空冷クーラーの取り付けが格段に行いやすくなっています。フィルターもツールレスで取り外し可能で、初めてのMini-ITXケースにおすすめです。

    Fractal Design Define 7 Nanoの天板

    ただし、このケースは静音性を重視しているため、冷却能力はやや控えめです。ハイエンドパーツを冷却したい場合はこれのメッシュモデルである『Meshify 2 Nano』がおすすめでしょう。


    Fractal Design Torrent Nano

    Fractal Design Torrent Nano
    • 2022年2月18日発売
    • 税込17,000円前後
    • 大型タイプ(34L)
    • 一般的なレイアウト(変則型)
    • CPUクーラー全高 165mm
    • GPU 長さ335mm(最大)/3スロット(最大)

    Fractal Designのケースの中でも特にエアフローに特化した『Torrent』シリーズのMini-ITXモデルです。

    30Lを超えるMini-ITXケースにあるまじきサイズですが、フロントに180mmの超大型ファンを搭載しており、ケース自体の通気性も優れているため冷却性能が極めて高いです。

    Fractal Design Torrent Nanoの側面画像

    また、電源を上に移動したクラシカルなレイアウトのため、GPUの吸気を遮るものがないのも細かいポイント。

    机に置けるサイズ感で極限まで冷却性能が欲しい人におすすめです。


    SilverStone SUGO 14

    SilverStone SUGO 14
    • 2020年9月18日発売
    • 税込10,000円前後
    • 中型タイプ(19L)
    • フロントPSUレイアウト(マザーボード水平設置)
    • CPUクーラー全高182mm(最大)
    • GPU 長さ330mm(最大)/3スロット

    SilverStoneの小型キューブ型ケースです。

    フロント側に電源を移動したフロントPSUレイアウトで、マザーボードを平置きしているため、GPUは側面から空気を取り込む形になります。

    SilverStone SUGO 14の分解画像

    価格が10,000円ほどと安価なのはもちろん、19Lという小ささながら、大型CPUクーラーや240mm簡易水冷、フルサイズの3スロットGPUを搭載できる拡張性。そして構成を変えれば3.5インチHDDや5インチベイを搭載できる高い柔軟性が特徴です。

    また、内部が狭くなることを考慮して、主要なパネルをすべて取り外せる構造になっており、この価格としては非常に完成度の高いケースです。

    ただしフロント端子にType-Cが搭載されていないため、そこは注意です。


    SilverStone SUGO 15

    SilverStone SUGO 15
    • 2020年11月27日発売
    • 税込20,000円前後
    • 中型タイプ(19L)
    • フロントPSUレイアウト(マザーボード水平設置)
    • CPUクーラー全高182mm(最大)
    • GPU 長さ330mm(最大)/3スロット

    先述のSUGO14の後に販売されたキューブ型ケースです。

    基本仕様はSUGO14と同じですが、価格が20,000円と跳ね上がっています。

    その代わり、フロントにType-C端子(10Gbps)が付いたほか、外装が安価なスチールからアルミニウムになり、塗装も質感や高級感が優れるものになりました。またフィルターが高品質なナイロン製になるなど、細かい部分もアップグレードされています。

    SilverStone SUGO 15の分解画像

    ただし、SUGO 14と違い5インチベイが搭載不可能になった点は注意です。


    Cooler Master MasterBox NR200

    CoolerMaster MasterBox NR200
    • 2020年10月11日発売
    • 税込8,000円前後
    • 中型タイプ(18L)
    • フロントPSUレイアウト
    • CPUクーラー全高155mm(最大)
    • GPU 長さ330mm/3スロット(最大)

    発売当初話題になったCooler MasterのMini-ITXケースです。

    このケースの特徴はその価格に見合わない完成度の高さで、8,000円という低価格ながら、CPUクーラーは最大155mmまで、GPUは厚み3スロットのフルサイズGPUが搭載可能です。またサイドは240/280mmの簡易水冷クーラー対応します。(ボトムも対応はするもののライザーカードが必要)

    そして、このケースも主要なパネルをすべて分解可能でありMini-ITXケースながら組み立てもしやすいです。

    CoolerMaster MasterBox NR200の分解画像

    外装に関してもスチールですが粉体塗装使われており、デザインもモダンで安っぽさが感じられないのも魅力です。

    安価ゆえにType-C端子が搭載されていないデメリットもありますが、安価に強力な小型PCを作りたい人におすすめです。


    LIAN LI A4-H2O

    LIAN LI A4-H2O
    • 2022年3月30日発売
    • PCIe3.0対応版:税込17,000円前後
      PCIe4.0対応版:税込23,000円前後
    • 小型タイプ(11L)
    • サンドイッチレイアウト
    • CPUクーラー 全高55mm
    • GPU 長さ322mm/3スロット

    ケースメーカーLIAN LIとDAN CaseがコラボしたITXケースです。

    11Lという小型サイズでありながら、3スロットのフルサイズGPUと240mm簡易水冷を搭載できるハイエンドMini-ITXケースです。

    特に簡易水冷に関してはケース上部に240mmラジエーターの搭載を前提としたスペースが確保されており、搭載時にパーツの干渉を気にする必要がないのが魅力です。

    また、主要パネルをすべて着脱できる設計かつ、GPUをスムーズに搭載するための挿入口がフロントに設けられているので非常に組み立てがしやすいです。

    水冷かつ、ハイエンドGPUを搭載するならおすすめです。


    LIAN LI Q58

    LIAN LI Q58
    • 2021年10月12日発売
    • PCIe3.0対応版:税込16,000円前後
    • PCIe4.0対応版:税込20,000円前後
    • 小型タイプ(14L)
    • サンドイッチレイアウト
    • CPUクーラー 全高67mm
    • GPU 長さ320mm/3スロット

    LIAN LIのサンドイッチレイアウトMini-ITXケースです。

    14Lの小柄サイズで3スロットのフルサイズGPUに対応するのはもちろんですが、それ以上にサイドパネルの上下が分離しているのが特徴で、ここがヒンジで開くようになっています。

    標準では上部がガラス、下部がメッシュになっていますが、オプションパーツにより上下共にメッシュにできます。

    また、トップパネルとフロントパネルと外すと、上部には2.5インチSSDのホットスワップトレイがあり、ツールレスかつ、ケーブルを外すことなくSSDの取り出しが可能です。

    高い性能を持ちつつ、他にはない面白い機能を実装しているケースです。


    NZXT H1 Version2

    NZXT H1 Version2
    • 2022年4月20日発売
    • 税込50,000円前後
    • 小型タイプ(15L)
    • サンドイッチレイアウト
    • CPUクーラー 付属
    • GPU 長さ324mm/3スロット

    サンドイッチレイアウトを90度起したタワー型のMini-ITXケースで、750WのSFX電源と120mmの簡易水冷クーラーが付属します。

    NZXT H1 Version2の内部画像

    付属電源とクーラーの組み込みを前提として設計されているため、パーツの干渉が限りなく少ないのが魅力です。また3スロットのフルサイズGPUが搭載でき、ライザーカードはPCIe4.0に対応しています。

    高さが405mmとやや高めですが、可能な限り簡単に小型なマシンを組みたいならおすすめです。


    SSUPD MESHILICIOUS

    SSUPD MESHILICIOUS
    • 2021年5月19日発売
    • 税込17,000円前後
    • 小型タイプ(14L)
    • サンドイッチレイアウト(変則)
    • CPUクーラー 全高73mm(最大)
    • GPU 長さ334mm(最大)/4スロット(最大)

    SSUPDというメーカーのタワー型ITXケースです。

    これに関しては仕様が複雑なため、詳細は代理店HPやメーカーページを参照ください。

    変則的なサンドイッチレイアウトを採用することで、14Lという小型サイズながら、3スロットまたは4スロットのフルサイズGPUを搭載可能なMini-ITXケースです。

    SSUPD MESHILICIOUSの分解画像

    その分CPUクーラー高さは最大で73mmと小さいですが、240/280mm簡易水冷を搭載可能なため冷却性能は充分。

    それどころかケース4面が通気性に優れるフルメッシュでできているため、Mini-ITXケースとしては冷却性能が非常に高く、ハイエンドな小型PCに最適なケースです。

    しかし付属のライザーカードがPCIe3.0までの対応(PCIe4.0対応版は別売り)であったり、GPUの映像端子がケース下部に出るため、L字ケーブルが必要(HDMIのL字ケーブルは付属)であったりと特殊な点が多く

    なにより仕様が複雑なため、パーツ同士の干渉や組み立て手順など、注意するべき点が多いです。

    しかし性能の高さは間違いなく、また見た目も非常にオシャレなため、Mini-ITX好きには堪らないケースです。


    InWin B1

    InWin B1
    • 2020年5月1日
    • 税込10,000円前後
    • 超小型タイプ(7L)
    • GPU搭載不可
    • CPUクーラー全高60mm

    流線形が特徴なInWinのMini-ITXケースです。

    トップパネルが強化ガラス製で、小さいながらメモリやクーラーのライティングを見れます。また縦置きと横置き両方に対応します。

    仕様としては、80PLUS GOLD認証の200W電源が付属します。GPUは搭載できませんが、2.5インチSSDを2台搭載できるため、AMD RyzenAPUやintel Coreの無印モデル、Tモデルとの組み合わせがおすすめです。

    また、これのホワイトモデルとして『B1 Pure』というモデルがあり、こちらはトップパネルが木目でリビングに溶け込みやすいデザインになっています

    InWin B1 Pure
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